特集『EF66に対する思い』その2

▲EF66-15復元完成披露撮影会。
左から、EF66-10、EF64-1016(後に1020と改番)、EF66-15、カニ24-104


この鉄道で『EF66』が導入されたのは、2000年の9月29日の事。JR貨物更新車(一次更新塗装)のEF66-19が入線したことに始まる。貨物列車の増備を計画しており、それに先駆けての導入であった。ただし、EF66=国鉄特急色と思っていたため、この更新塗装を見た時には驚いていたとか。それでも、ほしぞら高原鉄道1号機関車となったEF66-19号機は、当時少なかった貨物列車や工事列車を牽引して、縦横無尽に駆けまわっていた。その後、数多の機関車が導入されていくわけだが…。このお話は、この鉄道が『EF66依存症』と言われるほど、多くEF66を導入し、運行しているのか、そのルーツなどを綴ってゆく。
その2は、その後のEF66たちの動向に触れていく。

□再び『ブルートレイン』の先頭に

▲他のEF66とは異なる仕様の53号機(TOMIX 92332 JR EF66ブルートレインセット)。
当初からヘッドマーク付きであり、旅客列車…寝台特急を牽引することが決まっていたかのような仕様

 ほしぞら高原鉄道の政策として、昔懐かしの『ブルートレイン』を運行する計画を立てた。その第1弾としてEF66-53号機が選ばれ、各地から寝台特急形客車24系25形が集められ、最初の編成が組成された。最初に組まれたのは、東京〜下関を結んだ寝台特急『あさかぜ』1998年ごろの編成。当時は、東京〜高松を結んだ寝台特急『瀬戸』が285系サンライズエクスプレスでの運行に変更される前、24系25形客車で共通編成だった時代のもの(スハ25形300番台非連結の編成)。瀬戸の牽引機はEF65-1000番台、あさかぜはEF66形と違ったが、同じ編成である以上、EF65が牽引してもおかしくはない…というものらしい。


▲次なる牽引機となった42号機。

 その後、東京〜西鹿児島(現在の鹿児島中央)を結んだ寝台特急『はやぶさ』を復活させるべく計画が進行。既に導入されていた食堂車などが編成に組み込まれ、全盛期の15両編成をモデルに組成された。完全なJR西日本仕様への復元とはなっていないが、実車がJR西日本所属で、本格的にブルートレインを主に牽引していた42号機が主要牽引機に選ばれた。

□中には実車の『if』が入っている仕様

▲EF66-35号機。

 実車が京都鉄道博物館において静態保存されている35号機。国鉄分割民営化後はJR貨物所属であり、ブルートレインには縁のない機関車と思われがちです。しかしながら、調べると国鉄時代に旅客運用(ブルートレイン牽引)に従事していた記録が残っています。国鉄色+下枠交差型パンタグラフの組み合わせは博物館保存状態と変わりませんが、実車の足回りはJR西日本仕様なのかグレーであり、実車とは似ても似つかない仕様です。


▲EF66-42号機。前述してはいるが、復刻組成したブルートレイン『はやぶさ』専用牽引機。

 実車は国鉄分割民営化後、JR西日本下関車両管理所(現 下関総合車両所運用研修センター)に所属し、ブルートレインの牽引に従事していました。もっと追記すると、東京発着の最後のブルートレインであった『富士・はやぶさ』の上り最終便を牽引していたのも42号機でした。国鉄色+下枠交差型パンタグラフの組み合わせも現役時代の実車に即した仕様です。ただ、この機関車は1度だけ改番しており、中古導入時から一時期、20号機のプレートを付けていました。


▲EF66-5号機。導入時より予備機or部品取りに供するかという状態だった。

 ひさしありの車体で5号機…。一見すると間違いにも思われます。実際、初期型のEF66(901号機・1〜20号機)は、ひさしのない状態で落成。量産1次型である1から20号機はJR貨物移行後に施工された延命・更新工事の際に取り付けられていました。しかし、試作機であった901号機と11号機は生涯、ひさしが取り付けられる事は無かったようです。当の5号機ですが、ネット上で見かけた実車の写真に、国鉄時代に撮影されたものの中に、ひさし付の5号機の写真がありました。その後の調べで、国鉄時代の全般検査時に、1次型で取り付けられていたのが8両あり、その中の1両が5号機だったのです。ちなみに15号機に関しても、その中の1台だったことが判明します。
 この5号機に関しては、中古導入時に付けていた番号ではありません。実はというと…弊社所有のEF66は例外3機(19号機、10号機、53号機)を除いて、TOMIX製の製番2109のものです。この製品には選択式ナンバープレートで4つの番号があります。若番から27・35・42・53であり、4つとも使用してしまった後でした。そのため、同じく国鉄色のEF66 ひさしなし(製番2189)の番号を使う事にします。同じく選択式で4つの番号があり、1・10・15・20なんですが…あれ?5号機のプレートは何処から出てきたのか…。とにかく、何かしらで5号機のプレートがあり、それをつけたのですが…。
 当該車両は、パンタグラフが片方なし、排障器なし、前面にはナンバープレートを付けた時のかゴム系接着剤がつき、見た目はジャンク品であった。手持ちの部品を用いて交換するなどして綺麗にし、5号機と付番したものの、予備機扱いのままとなった。


▲EF66-20号機(2代目)。

 一時期、現42号機が名乗っていました。改番の際、それらのプレートは丁重に取り外した上で保管していました。このEF66を中古購入した際、それを再利用して20号機と付番したのです。
EF66-20号機の実車は、国鉄分割民営化後の1987年8月、JR貨物試験(スーパーライナー??)色に塗り替えられています。当時はひさしがない仕様でしたが、他のEF66初期車と同様、延命・更新工事を受けた際にひさしがつきましたが、同時に更新塗装へと塗り替えられました。実車は既に廃車済であり、現役時代の仕様ではありませんが、if概念の元、この状態で保管しています。


▲EF66-1号機

 あくまで部品提供用として購入した機体だったが、パンタグラフがない以外は文句ない状態だったため、1号機として復活させることにした。下枠交差型パンタグラフになっているのは、現在はJR貨物広島車両所で保管されている実車が、国鉄色に戻され、片方の顔は登場時の顔つきに復元(ひさしはそのまま)されていることによる。もう片方は第2次更新塗装同様の形状であるが、両方とも復元されていたら…という、考えるのは愚かなifである。
(実際問題、使えるナンバーが1号機以外なかったというのが大きな理由であったりする。)

□終わりに…

▲EF66-53号機(寝台特急『あさかぜ』専用牽引機)

幼少期のころ、図鑑に載っていた寝台特急は、24系25形や14系に代表される客車列車の『ブルートレイン』だった。それらの列車の先頭に立ち、ひときわ輝くカッコよさだったのは、当時の最長距離を運行した九州ブルトレ『はやぶさ』であり、本州区間である東京〜下関を牽引するEF66形電気機関車だった。世間一般で特急牽引機と言われるEF65-1000番台は、どちらかと言えば貨物機のように見えたが、実際に調べたら逆…本来EF66形は貨物機で、編成が重厚化してEF65形では牽引できなくなって、貨物運用減少で暇を持て余したEF66形が当時の東海道ブルトレの代表的な列車の牽引機に抜擢された…と知って、驚いたものです。鉄道模型Nゲージに手を出して以降、やたらとジャンク同様…部品欠品の状態で前持ち主から放出されたEF66形を迎え、修理して保有してきました。いつの間にか大所帯ですが…。既に実車の0番台はJR貨物の27号機以外は全て引退し、民営化後にJR西日本に継承され、寝台特急運用に従事したEF66形は既に全滅。静態保存機として残っているのは全て、ほぼ一生を貨物列車牽引に順次した車両。それでもJR西日本に継承されたブルトレ機の仕様を、現在は京都鉄道博物館で展示保存されている35号機が纏い、後世に伝承していってくれているのがせめてもの救いともいえましょうか…。今でも『一番カッコいい機関車』を訪ねられたら、EF66-0番台車と回答します。既に想い出となったEF66形牽引のブルートレインを、模型で組み合わせて走らせ、往年の活躍を思い出し、これからも大切にしていきたいと思います。

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http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101399.html(ほしぞら高原鉄道Livedoor支店『長い年月を経て完結? 』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101408.html(ほしぞら高原鉄道Livedoor支店『旧EF66-15号機、復元工事(1)』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101408.html(ほしぞら高原鉄道Livedoor支店『旧EF66-15号機、復元工事(2)』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101408.html(ほしぞら高原鉄道Livedoor支店『完全なる復元』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101409.html(ほしぞら高原鉄道Livedoor支店『無茶な改番』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101417.html(ほしぞら高原鉄道Livedoor支店『絶版のパンタグラフ』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101418.htm(ほしぞら高原鉄道Yahoo支店『パンタグラフの交換を実施(1)』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101419.htm(ほしぞら高原鉄道Yahoo支店『パンタグラフの交換を実施(2)』)
http://blog.livedoor.jp/asagiri87/archives/52101420.htm(ほしぞら高原鉄道Yahoo支店『パンタグラフの交換を実施(3)』)
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